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子どもの精神分析的心理療法連続セミナー 2023

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子どもの精神分析的心理療法連続セミナー 2023
『精神分析的実践の広がり:セラピーから日常臨床まで』

 私たちは必ずしも心理療法をできる現場にいないこともありますし、マネジメントやコンサルテーションが優先される場合も当然ありえます。心理療法を学ぶ私たちは、そうした状況下で一体何ができるのでしょうか?本セミナーでは精神分析的実践の広がりを論じることで、何が子どもや家族の心の理解と支援に役立つことなのか、その輪郭を描くことを目的とします。奮ってご参加ください。
*当初、チラシへの記載において、「第2回または第4回のみの参加では時間数が5時間に満たないため、ポイントの対象となりません。ご留意ください」と記載していましたが、正しくは「第2回または第3回のみのご参加」の誤りでした。お申込みの際はご留意ください。

連続セミナー2023 修正版

①「総論:精神分析的実践の広がり:子どもと家族の臨床の現在」

2023年4月16日(日)13:00~18:00
講師:平井 正三先生(御池心理療法センター/認定NPO法人子どもの心理療法支援会)

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 今日、家族の姿は大きく変わりつつあるとともに、子どもや青年の心のあり方も急速に変化しています。一方、子どもと家族への心理支援は様々な現場で行われており、子どもへの個人心理療法が行えなかったり、あるいは適切でなかったりして、マネージメント、ケースワーク、そして家族面接が重要な支援である場合もあります。このように変わりつつある家族や子ども、そして多様な臨床現場において、精神分析はどのように役立ちうるのでしょうか?本講義では、精神分析的実践の基盤として乳児観察をご紹介します。そしてそうした観察実践が、現場の臨床にどのように役立ちうるかを子どもと家族への支援の実践を通じて示していきたいと思います。
参考文献
 ミラー他編『乳幼児観察入門』創元社

②「臨床現場での精神分析的視点の応用」

2023年6月4日(日)13:00~17:00
「精神分析的な視点を活かした教職員等とのコンサルテーション」
講師:植木田 潤先生(宮城教育大学)

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近年,学校教育現場においては,発達障害の特性や愛着形成に課題のある児童生徒の理解と支援に苦慮している。感情のコントロールに困難を示したり,暴言・暴力を示したりする児童生徒に対する対応として,障害特性と関係性(養育環境等)との交差点にある児童生徒の内的体験世界を理解することが基点となり,個(児童生徒)への支援および組織(教職員等)への支援に繋げることが期待される。
行動上の問題に対応する方法論は様々にあるが,精神分析的な視点を活かした内的体験世界の理解を通じて,卒後を見据えた児童生徒の自分理解を深め,かつ組織的な共感性を高めることの意義について,具体の事例を通じて考えてみたい。
参考文献
平井正三・上田順一編「学校臨床に役立つ精神分析」.2016.誠信書房

「心の尊重か生活の保護か:地域における心理支援の葛藤」
講師:中沼 早苗先生(門真市立こども発達支援センター)

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地域支援の現場には虐待や貧困、失業等の現実的な生活上の問題を抱えているケースが少なくありません。支援のマンパワーが限られている場合には、心理士もこれらの問題に直接介入することが必要になります。時には問題解決のために、対象者にとって干渉的な介入になる場合もあります。心の専門家として対象者の心を尊重したいという思いと、その生活を守るためには干渉的にならざるを得ないという現実のはざまで、心理士は強い葛藤を感じながら支援を展開させることになります。地域における心理支援の実態と課題、可能性についてお伝えできればと思います。

③「アセスメントとマネジメントの実際」

2023年8月6日(日) 13:00~17:00
「児童虐待のアセスメントと支援:
子どもと親それぞれに対しての精神分析的な理解とアプローチ」
講師:服部 隆志先生(大阪府岸和田子ども家庭センター)

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精神分析的な理解•アプローチを児童虐待の支援や対応に活かすことには困難が伴います。1つは面接の設定の問題があり、会える回数が少なく、場所も学校や家庭訪問だったりと、面接が安定しないことが挙げられます。また、ニーズや困り感が素直に表現されない点も関係します。
児童虐待の多くは親子関係が悪循環になり、行き詰った結果として起こります。親に対して不適切さの指導は必要ですが、同時に親の背景にある対象関係、不安、葛藤、防衛をどのように扱うかで変化のあり様は変わってくると思います。
子どもについては、被虐待体験による心理的な影響をアセスメントすることは重要な作業です。そのためにはアタッチメントやトラウマを含めた発達の見立てが不可欠となります。また子ども自身が行動上の問題を引き起こしていることもあります。アセスメントの後、例え低頻度・短期であっても子どもへの面接や関わりは子どもの助けとなるはずです。
今回、児童虐待の様々な場面・ステージにおいて、精神分析的な理解やアプローチがどのように活用できるかについて検討したいと思います。また虐待の臨床現場で私自身が役立つと感じた精神分析の考え方を紹介したいと考えています。
参考文献
1.被虐待児の精神分析的心理療法(メアリーボストンら編著 平井正三ら監訳:金剛出版,2006)
2.臨床現場に生かすクライン派精神分析(I.ザルツバーガー-ウィッテンバーグ著 平井正三監訳:岩崎学術出版社,2007)
3.虐待を受けた子どものアセスメントとケア(鵜飼奈津子・服部隆志編著:誠信書房,2021)
4.虐待を受けた子どものアセスメントとケア2(鵜飼奈津子・服部隆志編著:誠信書房,近刊)

「思春期における精神病体験:その理解と支援」
講師:北村 隆人先生(東洞院心理療法オフィス/太子道診療所精神神経科)

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思春期は、人生の中でもっとも心理的波乱に満ちた時期の一つであり、その中で人は時に幻覚や被害念慮といった精神病的な症状に苛まれることがある。その症状は、その人だけでなく、この変化を目の当たりにした周囲の大人たちに混乱を引き起こすため、治療者は本人や家族だけでなく、さらに関係する人たちを広く支えねばならない。
今回のレクチャーでは、思春期の精神病体験に臨床家が適切に対応できるようにするために、以下の二点について講じる。一つは、思春期の精神病体験をどう理解すればよいかについての説明である。ここでは主に精神分析的知見を参照しながら、思春期心理と精神病症状について多面的、かつ多層的な理解が得られるよう工夫した説明を行う。もう一つは、支援についての説明である。これについては本人や家族への関与とともに、医療との連携についても言及し、支援の全体像をシェアできるよう心がける。

④「子どもの精神分析的心理療法の知見を活かす:多職種協働とコンサルテーション」

2023年9月10日(日) 13:00~18:00
講師:鵜飼 奈津子先生(大阪経済大学人間科学部・大学院人間科学研究科)

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“子どもの精神分析的心理療法は、週1回以上の頻度で、しっかりと決められた枠やルールにのっとって親子並行の面接を行うものである”というイメージは、良くも悪くも浸透してきているものと思われます。これは、たしかにその通りです。しかし、こうした実践を行っている英国の子どもの心理療法士も、多職種チームや他機関のためのアセスメントやコンサルテーションに、その時間の多くを費やしています。また、“子どもの心理療法士”という肩書ではない現場で、しかし、子どもの精神分析的心理療法の知見を用いた仕事をするものも少なくありません。これは、Winnicottの「精神分析家として(他の)仕事をする」という言葉とも共鳴するものですが(Horne & Lanyado2009)、ここで大切なことは、あくまでも子どもの精神分析的心理療法士としての実践、あるいはその訓練にまでさかのぼる“体験から学んだこと”がそのベースにあるということでしょう。本セミナーでは、こうした英国の子どもの心理療法士の「応用的実践」から私たちが学べることについて考えるとともに、日本における応用的取り組みについてもお話ししたいと思います。
参考文献
子どもの精神分析的心理療法のアセスメントとコンサルテーション(Horne & Lanyado ed.2009,誠信書房2021)、ワークディスカッション(Rustin & Bradley ed. 2008, 岩崎学術出版社2015)

開催形態  :ウェブ会議アプリzoomを利用したオンライン開催(会場開催は行いません)
参加対象者 :臨床心理士、公認心理師、医師、心理療法に携わっている大学院生・研修生
定員    :100名 *先着順
参加費   :一般枠・1回あたり8,000円/全回参加28,000円
大学院生・1回当たり6,000円/全回参加20,000円
申込方法:下記から申込フォームにて必要事項と誓約書にご回答ください。

お問い合わせ:【kodomo.seminar@sacp.jp】までご連絡ください。
*本セミナーは、日本臨床心理士資格認定協会から「短期型ワークショップ(2点)」として承認を受けています(オンラインのみ)。なお、第2回または第3回のみの参加では時間数が5時間に満たないため、ポイントの対象となりません。ご留意ください。

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