サポチル NPO法人 子どもの心理療法支援会

コラム

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オンラインゲームと子ども

道行く中で,子どもたちから「〇時に×××で待ち合わせな!」という声を聞きました。 なんてことのない日常の一コマです。しかし「×××」がオンラインゲームの名前だったの で私は驚いてしまいました。今は直接会わずにインターネットの中で友人と出会い,チャ ットで話をしながらゲームを一緒にすることが多いようです。

現代ではインターネットが当たり前に存在し,それ特有のトラブルもあるものの,コミ ュニケーションツールとして欠かせないものとなっています。私たち大人が子どもの時に 体験していた世界とは大変異なるため,驚きを感じている人も少なくないでしょう。臨床 発達心理学では時代が目まぐるしく変化し,親世代の体験が子どもにとって価値を持ちに くくなってしまっているという問題が挙げられています。親としてはインターネットでは なく,リアルの生活の充実を図ってほしいという気持ちを持つかもしれません。子どもは 子どもで,オンラインゲームで友達と遊んでいるほうがよっぽどリアルだと言いたいかも しれません。昨今ではVR(仮想現実)といった技術も導入され,リアルとは何か?という 問いが昔と異なった意味を持ちつつあります。これだけ技術的な革命が起きている中,そ れらをまったく無価値なものとしてわきに置いておくことも難しいです。

ここで必要なのは「知ろうとする姿勢」や「話し合うこと」かもしれません。ゲームは子どもたちにとってどんな意味があるのでしょうか。子どもたちはゲームのどういった部分に関心を持ち,楽しんでいるのでしょうか。もしやめられないとしたら,子どもたちにとってどんなことが問題になっているのでしょうか。もしかしたらとてもゲームが好きなだけかもしれませんし,現実でつらく苦しいことが沢山あるのでゲームをせずにはいられないのかもしれません。ひょっとしたらゲーム以外に楽しいことがあるのを知らない,なんてこともあるかもしれません。

大人が「危ないから」「よくないから」という理由で規制してしまうのは簡単です。しかし大人がよくないと思っている子どもの行動をなくしたら子どもたちは幸せになるのでしょうか。それは誰のための規制なのでしょうか。考えてみたいと思います。うまく言葉にできないけど言い返したい気持ちも,子どもの主体性や自立の種になる気持ちです。大人や親が知らなかったり経験がなかったりする子どもたちの世界を知ろうとし,それが持つ意味や価値に耳を傾けていくことが大切です。そういった「知ろうとする姿勢」が親子で「話し合うこと」に繋がり,オンラインゲームの意味やその使い方について考えるきっかけになるかもしれません。

(サポチル理事 / 臨床心理士 竹田駿介)

 

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