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INFORMATION事務局からのお知らせです
「子どもの精神分析的心理療法・臨床セミナー In 関東2025」のご案内
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2025年度サポチル関東臨床セミナーのご案内 【最終版】(ドラッグされました)2025年度サポチル関東臨床セミナーのご案内 【最終版】(ドラッグされました) 2
2025年度のサポチル関東臨床セミナーは、「事例検討から学ぶ子どもの心理臨床 —こころの痛みに向き合うために—」と題し、事例検討を軸に据えて、子どもの心理臨床の経験を深めていきます。子どもたちの心の痛みに向き合うために支援者である私たちはどのようなまなざしを持てばよいでしょうか。支援者のまなざしは、傷ついた子どもたちにとってどう作用するのでしょうか。臨床現場では、困難さを抱えている子どもだけではなく、養育者や子どもと関わる大人も心の痛みを抱えています。あるいは、そのことに何とか触れないように日々を送っています。そのような状況で、支援者やセラピストにとって、いかなる臨床的なまなざしが有効に作用するのでしょうか。
精神分析的観察の理解や姿勢にもとづき、学校、病棟、児童養護施設など多様な現場での実践事例を検討していきます。クライエントのこころを理解するには、もちろん支援者との関係性を理解することも重要ですが、その援助の関わりが生じている文脈や勤務する組織力動も深く関わってきます。クライエントが抱える問題が困難であるほど、その関係性や文脈の中で支援者のまなざしは影響を受けることになるでしょう。臨床的なまなざしは、単に見ることではなく、臨床姿勢そのものと言えるかもしれません。参加される方にとっては、各回で検討する事例が自身と異なる臨床実践の現場であったとしても活かすことのできる臨床的なまなざしについて、多面的に検討する機会となることでしょう。
また、12月21日の第5回「脳の発達とまなざし」では、脳神経科学の知見についての講義を中心として、胎児期から児童期、思春期に至るまで、養育者や支援者のどのようなまなざしが重要となってくるのかを議論します。特に、発達障害とトラウマに着目していきます。
★お申し込みはこちらからもできます→https://x.gd/bfI63
定員:60名
対象者:臨床心理士、公認心理師、医師、それに準ずる専門家、大学院生・研修生
受講料:40,000円
申込締切:2025年2月28日
お問い合わせは、kanto-rinsemi@sacp.jpまで。
※実際の臨床事例を扱うセミナーのため、受講者の皆さまにはお顔を画面に表示した状態にてのご受講をお願いします。何卒ご了承ください。
※本セミナーは日本臨床心理士資格認定協会の「定例型研修会(4ポイント)」として承認されていますので、7割以上出席の方に「研修証明書」を発行します。
【各回講師より】
2025年4月27日 13:00~17:00 「援助者のまなざしが持つ機能 ー乳幼児観察の視点」
脇谷順子先生(杏林大学保健学部/こども・思春期メンタルクリニック)
「観察」の大切さを私たちは知っています。では、私たちは何をどのように見ているのでしょう。
私たちは、対象となる人やその人に関わっている人たちの言動、特に非言語的なものにより焦点を当てながら、対象となる人たちのこころやグループ力動について知ろうとします。
とりわけ言語化するのが難しいこころの痛みは、私たちが自分自身の心身に生じているものにも眼を向けることによっても、感じられたり見えてきたりするようです。
対象となっている人、そして私たち自身の心身を丁寧に詳細に見ていくこと、外と内を見る眼をより意識してみることによってどんなことがどのように見えてくるのか、あらためて探索する機会になればと思います。
2025年6月22日 13:00~17:00 「学ぶこととまなざし ースクールカウンセリングの現場で」
小笠原貴史先生(小笠原こどもとかぞくのカウンセリングルーム)
昨今の学校という学びの場では、今までにないくらい多様性について向き合い、考えていく必要がある。子どものみならず、教職員にとっても、未知のものに対する能力が求められる。学校現場で出会う困難さを抱える子どもや子どもに関わる大人をどのように捉え、関わっていくのか。そうした問題を孕む学校現場において、精神分析的な観点を生かす試みの価値はとても大きい。しかし、学校現場での心理療法設定の導入や維持は、非常に脆く不安定であり、容易に困難な事態に陥りやすい。そのため、精神分析的な観点を生かすための無理のない方向性を考える必要があり、そのひとつが精神分析的観察を生かす試みと言えるだろう。精神分析的観察をどのように学校現場で活用していくかについて紹介したい。
2025年8月24日 13:00~17:00 「分からなさへのまなざし ー支援者のこころの痛みと麻痺」
吉沢伸一先生(ファミリーメンタルクリニックまつたに)
私たちの日々の臨床実践・心理療法実践の中では、クライエントのことが理解できないと感じることが度々あります。私たちにはクライエントから学ぶ姿勢が必要ですが、難しい関係性に陥っている場合、その姿勢を維持できず「分からなさ」は耐え難く経験されます。次第にクライエントのこころの痛みを見る「まなざし」を失い、私たち自身のこころも麻痺状態となってしまう場合もあります。このような時、私たちはいかに臨床的なまなざしを回復していくことができるのでしょうか。当日は、提示される事例素材と私の経験を踏まえ、参加者が実践の中で蓄積している経験知を共有し、「分からなさへのまなざし」の経験とその回復プロセスについてディスカッションを深めていきたいと思います。
2025年10月26日 13:00~17:00 「生と死を見つめるまなざし ー小児病棟での経験」
鈴木誠先生(くわな心理相談室)
小児病棟では、重い病気と闘う子どもたちが侵襲的な治療による苦痛に耐え、死と隣り合わせの状況にあります。その中で、子どもたちはどのような体験をしているのでしょうか?我が子の苦しみに寄り添い、奇跡を願う親の姿は、子どもにどう映っているのでしょうか?医療スタッフは、子どもや家族の苦悩にどのように向き合い、チームとしてどのような葛藤を抱えているのでしょうか?
本講義では、小児病棟における子ども、親、医療スタッフそれぞれの視点から「生と死」を見つめ、それぞれの体験、そして親子関係や医療チームの dynamics について考えます。
2024年12月21日 13:00~17:30「オープンセミナー:脳の発達とまなざし」
講師:筒井亮太先生(たちメンタルクリニック/上本町心理臨床オフィス)
「対人神経生物学Interpersonal Neurobiology」と聞くと、とっつきにくいイメージをもたれるかもしれません。でも大丈夫。この新しい学問分野は、普段からみなさんが日常的に触れている――人間の発達や成長、さらには臨床実践――テーマである「人間関係」を脳神経の知見から捉え直したものです。今回は、養育者-子どもの関係性を「右脳間相互作用」として概念化したアラン・ショアの見解を中心に、胎児期から思春期・青年期までの脳の発達や、養育者・支援者の関わりについてお伝えしたいと思います。(参考文献:アラン・ショア『右脳精神療法』岩崎学術出版社/『無意識の発達』日本評論社)
2026年2月22日 13:00~1700 「セラピーの内と外を見つめるまなざし ー児童養護施設における実践」
鵜飼奈津子先生(大阪経済大学人間科学部人間科学科)
児童養護施設は、子どもが24時間、職員のケアを受けて育まれる生活の場です。子どもは、それまでのおそらくは虐待的な環境において体験してきた養育とは、質的にまったく異なる養育を受けることになります。しかし、子どもがそれを新たな「良い体験」として経験できるようになるには、大変な時間を要しますし、職員の心労も言葉では言い尽くせないものでしょう。心理療法は、子どもがそうした「良い体験」を良いものとして受け取ることができるような心を育む ーそれまでの体験を消化し、悼み、自身の人生の中に位置づけていくー 作業であり、生活職員が提供する養育とは質が異なるものです。生活職員とセラピストが、こうした役割の違いを認識し、協働することの大切さについて考えたいと思います。
※各回の講師・シンポジストの略歴はこちらからご覧になれます。