サポチル NPO法人 子どもの心理療法支援会

コラム

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子どもの心の世界を理解するー子どもの精神分析的心理療法士の訓練ー

私たち「子どもの精神分析的心理療法士(以下セラピスト)」の訓練についてお話します。精神分析の創始者フロイトは、人の心における無意識を発見し、夢は無意識を知る重要な素材であると気づきました。精神分析では、私たちが普段は意識しない心の世界が、夢の中に姿をあらわすと考えています。皆さんはどんな夢を見ているでしょうか?

私は子どもの頃よく、怖い怪物に追いかけられたり、奈落に落ちて足場が崩壊したりする夢を見ていました。他にも奇怪な世界を堂々巡りして抜け出せなかったり、美しい情景や音色に心打たれたり、可笑しくも心暖まる体験をしたりした印象的な夢が心に残っています。

このように実りある豊かで暖かな世界から戦場のような過酷で苦しい世界まで、人の心には様々な世界があります。そして人が、耐え難い程の苦痛に出くわすと、心の世界が立ち行かなくなり、生きづらさを感じたり不適応と呼ばれる状態に陥ったりするのかもしれません。

子どもの精神分析的心理療法(プレイセラピー)においては、面接室の安定した枠組みの下で、夢と同様に、遊びに子どもの心の世界が表現されていきます。面接室の中では、戦場になってミサイルが降ってきたり、災害に巻き込まれていたり、洞窟に独り閉じこもっていたりと様々な心の世界が展開しますが、時には、早春の芽吹きのような生命力が現れたり、新しく豊かなものが創造されることもあります。セラピストは、このような子どもの心の世界を共に体験することを通して、心の世界を理解しようと力を注ぎます。そのためセラピスト自身にも、繊細な感受性、柔軟かつ丈夫で、忍耐強く、包容力のある心が求められます。

サポチル認定の精神分析的子どもの心理療法士は、以下のような多岐にわたる訓練を経験しています。
・乳児観察(家庭での赤ちゃん観察、乳児の心を体験する)
・個人セラピー(セラピスト自身がセラピーを受け自分の心の世界を理解する)
・スーパービジョン(心の理解や技法について熟練者に指導を受ける)
・文献講読(先人の知恵から理論や技法を学ぶ)

セラピストは、このような訓練に、長期間熱意と労力を投入します。厳しく険しい道のり
ですが、子どもの心の発達に役立つように日々格闘しています。

自分の心の世界を理解しようとする誰かが傍にいるという感覚は、人の心にとって大きな意味を持つことがあります。子どもとセラピストは、同じ世界を共有し、そこで様々な体験をしながら生き残る道を探し、お互いに成長していきます。子どもが自分の心の骨格や血肉を培おうと格闘しているとき、セラピスト側も心を揺さぶられながら、心が変容していきます。子どもの心に生き生きとした命が宿ること、子どもが自分自身の心を持ち自分らしく生きることは、私たちセラピストの願いです。子どもの心に真摯に向き合えるように、私たちも日々自分自身の心に向き合っていたいと思います。

(サポチル認定こどもの精神分析的心理療法スーパーバイザー(コンサルタントセラピスト)/臨床心理士:竹山陽子)

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