サポチル NPO法人 子どもの心理療法支援会

コラム

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セラピーレポート①*発達障害を抱えるAちゃんとのセラピー*

 みなさまからのご寄付によりセラピーを提供させていただきましたケースの概要をご紹介いたします。なお、個人情報保護のため、ケースは本質を損なわない範囲で内容を編集しております。たくさんのご寄付ありがとうございました。

Aちゃんは、4歳の時に『発達相談サービス』に相談申込されました。ご両親は、「同年齢の子どもとの関係がうまくいかない。気に入らないことがあるとすぐに怒り、大声で暴言を吐いたりする」と心配されていました。以前に児童相談所で「広汎性発達障害」と診断されていました。

『発達相談サービス』におけるアセスメントから、Aちゃんの人への関心は高く、何かを伝えようと行動や単語レベルで言葉は発してはいるものの、それはとても不明瞭で、双方向のコミュニケーションが難しい状態であることがわかりました。その背景として、Aちゃん自身の不安の強さや家族関係、ご両親の不安も大きくかかわっていると考えられました。アセスメント終了後、ご両親との振り返り面接を経て、Aちゃんへの週1回の継続的なセラピーとご両親へのコンサルテーションが開始されました。

セラピーが開始された当初のAちゃんは、部屋の中を落ち着きなく動き回り続けるか、奇妙で独特な絵を描くことに没頭するかで、言葉でやりとりを続けることは極めて困難でした。しかし、切れ切れながらもAちゃんの示す不安をセラピストが言葉にしていく作業を続けるうちに、少しずつ落ち着いて話ができる時間が増えてきました。周りの状況が見えるようになってくると、他児とのトラブルも減少してきました。ご両親のコンサルテーションでは、Aちゃんの言動の背景に何があるのかについて話し合うことを続けていきました。

小学校に入学したあたりから、Aちゃんはセラピストに家や学校での出来事をたくさん話してくれるようになってきました。セラピーの場がAちゃんのこころの中にあるものを‘伝える場所’であるということが根付いてきたようでした。この頃には、部屋の中をウロウロと動き回ることもなくなっていました。ただし、セラピストがAちゃん自身の不安な気持ちに注意を向けようとすると、以前のように目の前にいるセラピストと交流できない状態に戻ってしまう傾向は残っていました。Aちゃんにとって、不安な気持ちと正面から向き合うことはまだ難しいようでした。しかし、最近では、セラピストと話を続けられないという状態についても話題にできるようになり、そうなる理由について一緒に話し合うことができるようになってきています。

学校では、仲良しの友人ができ、クラスメイトとも大きなトラブルになる前に自分なりに対処しようと試みるようになってきました。また、家庭でもご両親に対して、様々な内容を自分の気持ちとともに伝えることも多くなっているようです。

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